東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(83)が女性の発言には規制が必要だなどと述べたことをめぐり、辞任の意向を固めて関係者に伝えた。国内外から「女性蔑視」「男社会の歪(ゆが)んだ考え」という批判の声があがっている一方、過剰な批判は逆効果という見方もある。問題の本質はどこにあるのだろうか。日本スポーツとジェンダー学会会長の中京大・來田享子教授に聞いた。
――森会長が日本オリンピック委員会の評議員会で、女性蔑視の発言をしたという批判が広がっています。スポーツの歴史と差別について研究してきた立場から、最近の議論をどう見ますか?
女性蔑視や男社会の問題という批判がありますが、森会長の発言の問題は人間観や社会観にあります。自分とは考えの異なる人を、男も女もなく尊重していない。対話もしようとしていない。それが発言に表れたところが本質だと思います。
「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」という森会長の発言は、本当に時間がかかるかどうかの話ではなく、森さんに異を唱えたり、自分の考えを自分の言葉で伝えようとしたりする人がいない同質集団が崩れることへの不満が述べられています。男女を問わず、自分の言葉で語らず、定型のフレーズで同調してくれる人がいてくれればいいということです。
――表現は女性に対して差別的…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル